地方によって葬儀の風習やしきたりはさまざまですが、九州には、出棺時に近親者が棺を反時計回りに3度回す風習が残っています。
「三度回し」あるいは「棺回し」と呼ばれるこの風習は、九州のみならず、西日本各地でも見られます。
棺を回す意味にはさまざまな説がありますが、もともとは古代日本の鎮魂儀礼でした。
「回る」という行為そのものが、人と神霊がつながる儀式とされたのです。
そこに、死の穢れを封じるための仏教的・修験道的信仰の意義付けがおこなわれました。
棺を回すことで死者は修行を実践し、この世での罪は無くなると考えられたのです。
後に信仰的な意義が消え、方向感覚を無くし、家に帰れないように迷わせるために3度回すという俗信になったと考えられています。